さて先週に引き続き、「コンテンツSEOを知ろう!」の後編をお届けしましょう。
前回は、SEO、そして検索エンジンの進化によってSEOから派生したコンテンツSEOの内容について、ご案内いたしました。今回は、では当社におけるコンテンツSEOの効果をご案内しながら、物流企業におけるSEOを考えてみます。
前回、SEOとは、特定のキーワードで検索された際、自社Webサイトを上位に表示させるための方法だと申し上げました。
…と、言うことは?
SEOを実施する際には、「うちはどんなキーワードで検索して欲しいのか?」という、ターゲットキーワードが決まっていないと、そもそもSEOの施しようがないわけです。
前号の例で挙げた、「飲む日焼け止め」だったら、飲む日焼け止めを販売するネットショップだったり、メーカーが想定されます。
例えば、ターゲットキーワード「ステーキ」を設定するのは、ステーキ専門のレストランチェーンかもしれないですね。
でも、秋元運輸倉庫の場合はどうでしょうか?
ターゲットキーワード=物流?
曖昧すぎますね。「運送」「倉庫」も、幅が広すぎます。
「当社の倉庫に入るものであれば、なんでも保管しますよ」
「当社のトラックが運べるものであれば、なんでも運びますよ」
こういった、言わば雑食である当社の場合、これといったビジネスターゲットがないわけです。
勘違いされがちですが、「なんでもやりますよ!」というのは「何もできないですよ」というのと同じです。「何でもやります」というのは、つまりお客様側に私どもの使いみちを考えてもらっている状態です。
お客様に、「いや、ちゃんとアピールしてくれないと…、こっちは君のことを知らないんだだからさ!」って言われたら、終わりです。
これは困りました。
メルマガ秋元通信を開始する際に、感じていたジレンマでもあります。
では、どうしたかと言えば…
「とりあえず目立とう!」、こう考えたわけです。
実は、秋元通信は、SEO対策のために始めたわけではありません。
もっと言えば、GoogleやYahoo!などを使って検索する、(当社からすれば)顔の見えない誰かをターゲットにしたわけではありません。
当社のことを知る皆さまに、当社に対して興味を持ってもらうために始めたのが、メルマガ秋元通信なのです。
この、「興味を持つ」という行動は、消費者の購買行動モデルAIDMA(アイドマ)では、以下のように説明されます。
- Attention:製品・サービスの存在を知る。
- Interest :興味を持つ。
- Desire:欲しいと思う。
- Memory:記憶する。
- Action:購買行動に至る。
この意味で、秋元通信の効果は、絶大でした。
多くの方に、「秋元さん、おもしろいこと始めたね!」と興味を持っていただいたわけです。
秋元通信では、当社の宣伝は、ほとんど行っていません。
にも関わらず、秋元通信を開始してから、当社へのお問い合わせは、以前とは比べ物にならないくらい増えました。
そもそもSEOというのは、絶対的な矛盾をはらんでいます。
それは、Webサイトにいくら人が集まっても、売上につながるとは限らないことです。
極端な例ですが、Wikipediaは辞書サイトとして膨大なアクセスを誇り、月間5億人以上が利用しています。しかし、Wikipediaは常に資金難に苦しんでいます。営利目的のサイトではなく、寄付で運営を行うポリシーとは言え、マネタイズ(収益化)に問題があるのは間違いありません。
話がずれました。
秋元通信では、さまざまなテーマを取り上げてきました。
そして、そのテーマに対し、興味を持った方が少なからず当社にアプローチしてくれています。
物流インターンシップを受けたいと申し出てくれた女子高生。
その女子高生を取材したい朝日新聞。
ドラマの設定交渉相手として、当社を選んだフジテレビ。
そして、秋元通信の記事を見て、物流記事の執筆を依頼してきたソフトバンククリエイティブ。
文書のチカラで人の関心を集め、そして選ばれる存在になること。
これも、広義で考えれば、コンテンツSEOと呼べるでしょう。
ただし。
話が戻りますが、やはり「ターゲットキーワードがない」、つまり「明確なアピールポイントがない」状態というのは、営業的に考えれば弱点です。
例えば「神奈川県内の建材配送はおまかせを!」「精密機械輸送ならば、設置まで輸送から設置まで請け負います」といった、明確なアピールポイントを持っている物流企業は、コンテンツSEOに限らず営業的に大きなアドバンテージを持っています。
Webを営業手段、顧客獲得の手段として、物流企業が活用するケースを考えます。
明確なアピールポイントを持っている物流企業は、コンテンツSEOを実践すれば良いでしょう。
問題は、明確なアピールポイントを持たない、当社のような物流企業です。
この場合は、他社との差別化となる、「何か」をWeb上で活動する必要があります。
ブログ、メルマガ、最近であれば、Youtubeも有効な手段です。その中身であるコンテンツに対し、周囲から評価が頂けるようであれば、次第に貴社へのお声がけ、ご相談は増えていくはずです。
この「周囲から」というのが、物流企業の場合は大切なのではないでしょうか。
Webサイトへの訪問数という観点から極端なことを言えば、「見知らぬ100万人のアクセス」よりも、「顔と名前の分かっている100人のアクセス」の方が、売上に貢献することがあるのが、物流企業です。
「周囲」にどのように伝え、「周囲」からどのように評価をもらうのか、それが大切なのは、Webの世界だけではありませんけれども。
Web上に文章を書く、というのは、人の目に触れる露出機会を増やす手段です。
そして、コンテンツSEOが注目されるていることで分かるように、言葉の持つ力というのが、これほど平等になった時代というのも、人類史において初めてなのではないでしょうか。
だから、なんの後ろ盾もない、当社が発信し続けた記事も、次第に世間から注目されるようになってきたわけです。
書くことはそうですが、続けることは決して簡単ではありません。しかし、続ければ必ず結果はついてきます。
ぜひ、皆さまも実践されてはいかがでしょうか。