秋元通信

メルカリ時代の購買モデル「SAUSE」とは?

  • 2019.7.23

消費者が、モノを買う「購買プロセス」に、新しいモデルが登場しました。
これは、フリマアプリのリーディングカンパニーであるメルカリと、三菱総合研究所が発表したものです。
 
今回は、従来型の購買モデルを紹介しつつ、新たな購買モデルである「SAUCE」についてご紹介しましょう。
 
 

購買モデル 「AIDMA」とは

 
AIDMA(※「アイドマ」と読みます)は、消費者の購買プロセスを以下のように分解しています。
 

  • Attention(注目)
    ある製品の存在を知ります。
    → 販売者側の目標:認知度を向上させること。
  • Interest(興味)
    製品に対し、興味を持ちます。
    → 販売者側の目標:製品に対する評価を育成すること。
  • Desire(欲求)
    製品に対し、「欲しい」と思います。
    → 販売者側の目標:「欲しい」というニーズを喚起させること。
  • Memory(記憶)
    記憶すること。
    →販売者側の目標:「欲しい」という記憶、製品に対する記憶をリマインドさせること。
  • Action(行動)
    購入します。
    →販売者側の目標:購買に至るきっかけであり機会を提供すること。

 
この5つの行動を、さらに「認知段階」(Attention)、「感情段階」(Interest、Desire、Memory)、「行動段階」(Action)と分類します。
 
AIDMAは、1920年代にアメリカで提唱された購買モデルです。
現代に至っても、古典的かつ基礎的な購買モデルとして、説得力がある購買モデルでしょう。
 
 

購買モデル 「AISAS」とは

 
「AISAS」(※「アイサス」と読みます)は、2004年に電通が提唱した購買モデルです。

  • Attention(注意)
    製品の存在を知る。
  • Interest(関心)
    製品に興味を持つ。
  • Search(検索)
    インターネット検索を行い、情報収集する。
  • Action(行動)
    製品を購入する。
  • Share(共有)
    製品の利用体験を、SNSなどで共有する。

さらに、「AISAS」を発展させた「Dual AISAS」なんていう購買モデルも登場しました。

「買いたい!」という、AISASモデルに沿った行動を起こした消費者は、次に「製品を購入した」ということを、「皆に知って欲しい!」という共有/拡散の行動を取ります。

  • Activate(起動・活性化)
  • Interest(興味)
  • Share(共有・発信)
  • Accept(受容・共鳴)
  • Spread(拡散)

電通では、二回目のAISAS行動を、「アテンション(注意)を補完する『広めたい』のA+ISAS」としています。
 
内容は異なりますが、二行程のAISASが行われることから、Dual AISASと呼ばれるわけです。
 
共感を求めるSNS社会が生み出した購買モデルなんでしょうね、AISASにせよ、Dual AISASにせよ…
私は、少々こじつけ感を感じてしまうのですが。
SearchとShare が現在の購買モデルにおいて、重要な役割を果たしている、という点については、確かにそのとおりだと思います。
 
 

そして、「SAUCE」の誕生

 
さていよいよ「SAUCE」の紹介です。

  • Search(検索)
  • Action(行動)
  • USE(一時利用)
  • Share(再販売)
  • Evaluation(評価)

購買モデル「SAUCE」を発表した三菱総合研究所では、このように説明しています。
 
「フリマアプリを介して『モノのシェアリング』を行う消費者は、モノに対する価値観が『所有』から『利用』に変遷することによって、従来とは異なる消費行動をとることが明らかになりました」
 
これは、同研究所が、メルカリユーザーを対象にアンケートを実施し、導いた購買モデルです。
もう少し深掘りすると、このような傾向が確認されたそうです。
 

  • 新品を購入する時点で、売却することを意識して購入する消費者がいること。
  •  

  • 売却を想定した新品購入を行った結果、「新品購入が増加」、「より高額な商品を購入する」行動が発生していること。
  •  

  • メルカリのようなシェアリングサービスの存在が、新たな購買&消費行動を生み出したこと。
  •  
     
    アンケートによれば、洋服を購入する際に将来の売却を意識する消費者は、洋服の場合65%、化粧品の場合50%に及ぶんだとか。
    さらに、洋服購入においては28%、化粧品購入の場合は18%が、それまでよりも高価格帯にシフトしたそうです。
     
    話が少しずれますが、化粧品ってメルカリで売れる&買うんですね。
    見知らぬ誰かが使った化粧品を、また使うって、気持ち悪くないんでしょうか…
    そう思うのは、筆者がおじさんだから???
     
     

    「SAUCE」から、何を学ぶか?

     
    ひとつお断りしておきたいのは、「SAUCE」とはあくまでメルカリユーザーを対象にした調査結果から生み出された購買モデルであるという点です。
    2018年7月時点でのメルカリ利用者は、月間1000万人オーバーと発表されています。別の調査では、2019年4月時点のメルカリ利用者は、2216万人。同じくフリマサービスを提供するラクマ利用者は、1115万人と発表されています。
     
    「SAUCE」が、「AIDMA」や「AISAS」に並び、研究されるような購買モデルとは考えられません。設定があまりに限定的ですから。
    ただし、一方で、「SAUCE」がメルカリに代表されるフリマ・マーケットだけでしか通用しない購買モデルではないことも、事実でしょう。
     
    例えば、自動車購入においては、数年後の中古車市場価格を見据えて、新車購入を行なうことは、一般的によく知られていることでしょう。
    不動産投資は、確かに「SAUCE」に則った購買行動かもしれません。物流不動産、とりわけサブリースは、「USE(一時利用)」はないものの、「Share(再販売)」と「Evaluation(評価)」で成り立っているビジネスです。
     
    これから新たな製品やサービスを創り上げようという人であり企業は、「Share(再販売)」を意識するべきです。これは、時代の流れなのでしょう。
    だからこそ、「Share(再販売)」が可能な製品/サービスであるかどうかは、新製品や新サービスを考えるときには、考慮すべきと考えます。
    「売れれば良し」、「売れてしまえば、後は放置」。
    こんなビジネスモデルが通用しないことは、以前から分かっていたことではありますが。その重要度は、上がってるのかもしれません。
     
     
    ちなみに、「SAUCE」にせよ、「AIDMA」、「AISAS」にせよ、こういった購買モデルは、「ものさし」のようなものであると、私は考えています。
    こういった購買モデルを知らなかったとしても、何か致命的な失敗が起きるわけではありません。
    ただし、あることを理解し、評価する際に、購買モデルは役立ちますし、知っていれば多少物事を早く理解することができます。
     
    こういう知識が、何か皆さまの知見を広め、深める機会になれば幸いです。
     
     
     

    参考

     
    メルカリとシェアリングエコノミーに関する共同研究を実施
    ─シェアリング時代の新たな消費モデルは「SAUSE」に─
    https://www.mri.co.jp/news/press/teigen/028518.html
     
     
    MBA用語集 「AIDMA」
    https://mba.globis.ac.jp/about_mba/glossary/detail-12514.html
     
     
    AIDMA (Wikipedia)
    https://ja.wikipedia.org/wiki/AIDMA
     
     
    “Dual AISAS”で考える、もっと売るための戦略。
    https://dentsu-ho.com/articles/3100
     
     
    フリマアプリ「メルカリ」累計出品数が10億品を突破(メルカリプレスリリース 2018/7/19)
    https://about.mercari.com/press/news/article/20180719_billionitems/
     
     
    アマゾン、メルカリ、ラクマの利用者数は昨年比で2桁成長/スマホのみの利用が増加【ニールセン調査】
    https://markezine.jp/article/detail/31415


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