秋元通信

女性のための新たなキャリア形成モデル / RPA女子が支持される理由

  • 2019.7.31

RPAが、いよいよ注目を集めて始めています。
 
RPAとは、言うなれば事務作業用のロボットのこと。詳しくは、今年2月に配信した記事をご覧ください。
 

「事務作業ロボット」が活躍する時代が来た!?  / RPAとはなんだ?

 
かく言う当社も、実はRPA導入にチャレンジを開始しています。
ただ、RPAを利用するためには、自動化したい作業にあわせてロボットを作成する作業が必要です。
一般的なプログラミングに比べれば、難易度は低いとは言え、その作業を自社で行うことが難しいこともあるでしょう。
 
そんな、RPA導入を手助けしてくれるのがRPA女子です。
 
今回は、『知識ゼロからのRPA入門』(著者:大角暢之 出版:幻冬舎)ライティングの際に、筆者が取材でお世話になった、株式会社MAIA(マイア)の月田有香CEOに再度お時間を頂戴し、RPA女子プロジェクトを通して視えてきた、主に30代から40代の女性たちが目指し始めた、新たなキャリア形成モデルについて、お話を伺いました。
 
 

「保証された未来がない」就職氷河期を経験した世代

 
筆者:
1980年代後半から1990年代初めに、日本経済を席巻したバブル時代、もしくはバブル以前にあった、女性が目指すべき理想のキャリア像というのは、非難を恐れずに言えば、男性の模倣だったように思います。
 
 
月田さん:
そうかもしれませんね。
例えば、「ナショナルカンパニーで、女性初の部長になる」、「女性だけど年収1000万円を目指す」といったものが、バブル時代における女性のキャリア像だったかもしれません。
 
私の世代(30~40代前半)は、バブルが崩壊した後、就職氷河期に就職活動を行い、社会人になりました。
私は大手コンサルティングファームに就職しましたが、入社しても2~3年で、7~8割の同期がいなくなるような時代でした。
 
保証された未来がなかったんですね。
だから、自分で自分のキャリアを設計する必要がありました。
 
たぶん、これは私だけではなく、就職氷河期を経験した多くの人が感じていたことじゃないかと思います。
 
バブル時代、もしくはバブル以前の皆さんと違い、就職氷河期世代の私たちは、身を持って景気後退に向き合い、そして将来の労働力減少を、遠い未来の話ではなく私たちが必ず向き合うべき課題として意識していたように感じます。
 
 

「いかにして自分の人生を創り上げるのか?」

 
一時、「サロネーゼ」という女性の起業スタイルが話題になったことがありました。
「サロネーゼ」とは、自宅でエステや料理教室などを行い、起業する女性たちを指します。
 
結婚や出産をきっかけに、いったんは家庭に入った女性が、再び働きたいと考えたときに、スモールビジネスに目を向けるケースが多いのでしょう。
旦那さまの収入があるうちに、自分自身のキャリア形成にチャレンジするわけです。
 
そういう意味では、女性の方がしたたかかもしれません。
 
「子育てをしながら仕事をしたい! でも、フルタイムワーカーは無理…」という女性は、以前からたくさんいらっしゃったと思います。
 
 
現在、RPA女子が話題を集めているのは、そういった女性のキャリア形成モデルに、RPA女子がマッチしたという要素もあるのではないでしょうか。
 
RPA女子は、原則として業務委託契約となります。
個人事業主として、自分の責任で働く時間を捻出し、スケジュール管理と納期管理を行う必要があります。
結果として、フリーランスとしての自分を意識するようになります。
 
サラリーマンである男性からすれば、これは当たり前のことに聞こえるかもしれませんが…
実は女性の方が、マルチタスクには向いているのかもしれませんよ。
 
例えば、料理好きな男性は、ひとつの料理に手間と暇をかけることが多いです。でも、女性の場合は主菜、副菜、汁物といった複数の料理を同時並行で日々作っています。女性は日々、マルチタスクをこなしています。
子育てと仕事の切り替え、仕事のオンとオフの切り替えなど、女性の集中力は、男性のそれと少し異なるのかもしれません。
 
 

「プチ・フリーランス」の誕生

 
以前は、起業をすることは、一大決心でした。
「私財をなげうち、目指すは上場!」といった、ハイリスクハイリターンな決意を固めて、起業するケースですね。
起業する前に、一大決心をして、リスクも背負って…、なんていう起業スタイルは、特に男性に多い気がします。
 
今は、少し変わってきました。
気楽に起業したり、気楽に兼業することができる時代になってきました。
 
「今の仕事も悪くない」、でも「将来は不透明だし…」。
そんな背景があって、チャレンジしてみる、とか、お試し的な起業をする女性が増えてきたのではないでしょうか。
 
男性から診れば、「しっかりとした覚悟もしないで、どうなの!?」と思うかもしれません。
確かに、覚悟の質は違うかもしれませんが、でも真剣さが足りないわけではありません。
 
既婚女性のキャリア形成を考えた場合、旦那さまの収入があるのとないのとでは、大きく違います。現実的に考えれば、ちゃんと財源が確保されているところで、起業にチャレンジするのは賢明だとは思いませんか?
男性からすれば、理解しにくいし、感情的にも受け入れ難いところはあると思いますが…
 
リスクは回避しつつ、でも真剣に自分自身のキャリアを追い求める。
旧来型のフリーランスとは少し違うという意味では、「プチ・フリーランス」と呼んでも良いかもしれませんね。
 
 

プチ・フリーランスにマッチしたRPA女子

 
女性のキャリア形成と言っても、人によって稼ぎたい収入は異なります。
あくまで、旦那さまの扶養範囲で稼ぎたいという方もいれば、月10数万円からそれ以上稼ぎたいという人もいます。
 
家庭とのバランスや、本人が望むクオリティ・オブ・ライフなどを考慮して、それぞれの事情やメンテリティにマッチした働き方であり、キャリア形成として、RPA女子という働き方が受け入れられたのだと思います。
 
RPA女子の収入ですか?
さまざまですよ。よく聞かれる質問ですが、いわゆるRPA女子の平均的モデルを表現するのはとても難しいです。
 
RPA女子の中には、ご自身のライフスタイルに合わせて、月数万円程度の収入がある方、月100時間~フルタイムで働き、年収で数百万円を稼ぐ方もいます。
 
MAIAでは、RPA女子への案件の斡旋もしています。
人気があるのは、やはりリモート(在宅)案件ですね。後は、時間給ではなく、納品物単位の案件もあります。
ロボットをひとつ作るといくら、という形ですね。
 
 

さまざまな事情や経歴を持ったRPA女子たち


RPA女子の中には、さまざまな事情や経歴を持った方がいらっしゃいます。
夢を追っている方、例えば、女優や講師(※立場が得られるまでは、とても収入が安いため)を目指している方もいます。
不妊治療のため、フルタイムワーカーができず、RPA女子になった方もいれば、お子さんが保育所に入れなかったため、在宅でRPA女子をしている方もいます。
 
話が少しずれますが、MAIAでは、軽度知的障がい者の方にも仕事を提供しています。
作成したRPAのテスターとして、活躍してもらっています。
 
現在、RPA女子の卒業生は、約800名います。
総じて、真剣にさまざまな知識を身につけようとされている方が多いです。
 
RPAの開発をしていると、RPAに連携するOCRや基幹システム、さらにAIなどの幅広い分野にもつながっていきます。そのため、それらの知識を獲得したいと思われる方が多いので、今後はRPA女子の皆様に幅広いテクノロジーの教育を提供していく予定です。
 
RPA女子というのは、新しい女性の働き方を構築するきっかけになると、私は考えています。
「仕事と家庭の両立をしたい」、「フリーランスとしての幅を広げたい」、「自身のキャリアをもっと追求したい」など、意欲のある方々に対して、MAIAは今までの枠にはまらないテクノロジーを活用した、新しいキャリアデザインを提案していきたいと思っています。
 
日本のエンジニア開発能力は、まだまだ低いです。
MAIAは、テクノロジー教育の先駆者として、ヒューマンリソースの底上げを教育で図りながら、仕事のマッチングも行っていきたいですね。
 
 

まとめにかえて ~ 筆者がRPA女子に思うこと ~

 
再就職を希望する女性は、44.5万人もいると言われています。
この数は、就職を希望する大学生、大学院生とほぼ同じです(※2018年3月卒業する大学生、大学院生のうち、民間企業への就職希望者数:42.3万人)
 
言うまでもなく、日本の国内産業は人不足にあえいでいます。これは、物流業界に限ったことではありません。ところが、人不足にあえいでいるにも関わらず、40万人以上の「再就職を希望する女性」を、うまく取り込めている企業はいくらもありません。
 
RPA女子プロジェクトは、その数少ない成功例です。
人不足にあえぐ物流業界は、RPA女子の成功例を学ぶべきではないでしょうか。
もっと言えば、子育て世代のママさんたちに活躍してもらう、もしくは活躍してもらえる場を提供できれば、物流業界の人不足解消にも、大きな前進ではないでしょうか。
 
とても、魅力的だと感じます。
 
 

株式会社MAIAの月田CEO。ご本人も、とても素敵な女性です。インタビューにお応えいただき、ありがとうございました。

株式会社MAIAの月田CEO。ご本人も、とても素敵な女性です。インタビューにお応えいただき、ありがとうございました。


 
 

【補足】 RPA女子プロジェクトとは

 
RPA(Robotic Process Automation)とは、事務職用の産業用ロボットのようなもの。PCで行う作業を、自動化してくれるツールです。例えば、ExcelVBAでは、原則としてExcel内の作業しか自動化できませんが、RPAは、Excelはもちろん、Word、ブラウザ、EDIや基幹システムなど、PCで利用するすべてのアプリケーションを扱うことができます。
RPAのセッティングは、難解なプログラミング知識を必要としないため、利用のハードルは低いです。ただし、RPAを社内で利用、普及させるためには、ロボットを作成する技術を持った人材の他、教育できる人、RPAのニーズを探り、仕様を決定する調整役などが必要となります。
 
こういった、RPAの作成、管理、運用などを一手に担うことができる人材の育成を目的とするのが、RPA女子プロジェクトです。
 
高いスキルを持ちながら、就業に不安を抱える、主に子育て世代の女性たちにフォーカスし、オンライン教育を提供し、ビジネスマッチングも手掛けるMAIAの取り組みは、さまざまなメディアで注目されています。
2018年9月に、NHK『あさイチ』で紹介された際には大きな反響を生みました。
RPA女子無料会員への登録が、約1万人。その後、募集開始した第三期生の申込みには、約5000人が殺到しました。
 
現在、MAIAでは、『知識ゼロからのRPA入門』著者の大角暢之さんが代表を務めるRPAテクノロジーズ株式会社と組み、「BizRobo!マーケット」のロボット制作も手掛けています。
これは、RPAテクノロジーズのRPAツール「BizRobo!」向けのロボットをあらかじめ用意し、ユーザーに提供するものです。
基幹やグループウェア、勘定系システムなどで利用できるRPAのロボットを提供する「BizRobo!マーケット」は、「ロボットは自作するもの」という既成概念を覆し、RPAへの導入ハードルをさらに下げる役割を果たすでしょう。
 
RPAとその周辺マーケットは、ここに挙げた例に限らず、急速に広がりつつあります。
RPAのブルー・オーシャンで活躍する人材を育成するのが、RPA女子プロジェクトなのです。
 
 
 


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