秋元通信

よみうりランドで体験、今話題のワーケーションを考える

  • 2020.10.29
よみうりランドが行う「アミューズメント・ワーケーション」。プールサイドで仕事をしますよ。

よみうりランドが行う「アミューズメント・ワーケーション」。プールサイドで仕事をしますよ。

 
 
 
「ワーケーション」が、話題を集めつつあります。
 
ワーケーションとは、「ワーク」(Work)と、「バケーション」(Vacation)を組み合わせた造語であり、休暇を取りながら、もしくは観光地など、休暇のために赴くような場所において、仕事をすることを指します。
 
遊園地である、よみうりランドで行われている「アミューズメントワーケーション」を体験してきました。
その様子をレポートするとともに、ワーケーションの可能性について、考えてみましょう。
 
 
 

ワーケーションに関するアンケート

 
ワーケーションは、世間ではどれくらい知られ、そしてどのように考えられているのでしょうか。
クロス・マーケティング社が実施した「ワーケーションに関する調査」を紐解きましょう。
 
アンケートによれば、ワーケーションの認知率は7割以上。
さらに、1割が「導入している」、もしくは「導入予定」としています。
 
アンケートでは、テレワークの認知率が9割以上、テレワークの導入率が24.1%です。テレワークは、新型コロナウイルス対策として、政府が導入を後押ししていますが、テレワークの認知および実施数アップとともに、いわばテレワークの亜種であるワーケーションの認知率も上がっているのかもしれません。
 
ワーケーションの利用意向については、23.2%が「行いたい」+「やや行いたい」、41.9%が「行いたくない」+「あまり行いたくない」、34.9%が「どちらとも言えない」となっています。
ワーケーションという言葉は広まりつつありますが、どのようにワーケーションを行うのか、その実態は、知られていないのが現状でしょう。もっと言えば、ワーケーションの最適なあり方は、今まさに模索されている最中です。
 
そんな中、2割強の人が、ワーケーションに興味を持っているというのは、期待の高さがうかがわれます。
 
アンケートから得られた、ワーケーションに対し、期待すること、懸念することも挙げておきましょう。
 

ワーケーションに期待すること 【業務上のメリット】
  1. 精神的な余裕が得られる。
  2. 普段の生活環境で感じるストレスから解放される。
  3. オフィスから離れることで、業務に集中できる。

 

ワーケーションに期待すること 【業務以外のメリット】
  1. 観光ができる。
  2. 休暇を取得しやすい。
  3. 新しい価値観や文化に触れられる。

 

ワーケーションへの懸念点 【自分自身が行う場合】
  1. 仕事と休暇のメリハリがつけにくい。
  2. 費用がかかる。
  3. 仕事の関係者から理解が得にくい。

 

ワーケーションへの懸念点 【組織へ導入する場合】
  1. 生産性が落ちる。
  2. 情報漏えいが不安。
  3. 組織として負担する交通費や宿泊費の整理。

 
 
なるほど、ワーケーションに対する期待と不安が、透けて見えるような結果ではないでしょうか。
日本人は、世間体を気にします。働くことはマジメでなければならないわけですし、だからこそ、カフェでノートPCを開き、仕事をする人に対し、「ドヤラー」なるスラングも生まれるのでしょう。
 
観光・休暇で訪れるような、非日常の空間で仕事をしてみたいという興味はあるものの、仲間、もしくは取引先からは、どのように思われるのだろうか…
そう思う人が多いのは、致し方ないことでしょう。
 
 

「アミューズメントワーケーション」(よみうりランド)体験記

 

ワーケーションの場として、よみうりランドが提供するのはプールサイド。私も、ビーチチェアでPCを叩くのは初めての経験です。

ワーケーションの場として、よみうりランドが提供するのはプールサイド。私も、ビーチチェアでPCを叩くのは初めての経験です。


 
 
よみうりランドでは、「アミューズメントワーケーション」と称し、プールサイドをコワーキングスペースとして開放するサービスを開始しました。
 
「これはネタになる…」、ネタ作りのプレッシャーと日々向き合う私にとって、これは体験せねばなりません。
 
私が赴いたのは、10月26日(月)のこと。
朝9:30からワーケーションの予約をした私は、中学生やら高校生にまじり、よみうりランド行きのバスに乗り込みます。この時期、土日は体育祭や文化祭が行われ、月曜が振替休日になる学校も多いのだとか。
居心地の悪さを感じながら、よみうりランドの入場口に向かうと、既に思いのほか、多くの人が並んでいます。
 
よみうりランドの開園は、10:00。
しかし、ワーケーションは、9:00から利用できます。開園を待つ人々を尻目に、受付をする私にスタッフから声が掛かりました。
 
「ドイツのTV局が、取材をしたいと言っているのですが」
 
ドイツの国営放送:ドイツ公共放送連盟(ARD)が取材をさせて欲しいとのこと。
おもしろそうだったので、ふたつ返事で承諾しました。
 
よみうりランドのアミューズメントワーケーションは、予約制になっています。
一日の定員は、11名。当日は、4組5名の利用者がいました。
 
仕事場として提供されるのは、プールサイド、つまり野外です。
簡易的な木枠で仕切られたスペースに、ビーチチェアと小さな机が用意されています。Wi-Fiと電源はあるものの、これはそもそも設置されていたものでしょう。つまり、良くも悪くも、夏季はプールとして営業しているスペースと設備を、そのままワーケーションスペースとして提供しています。当然、椅子やら机やらは、仕事用のものではありません。
私も、ビーチチェアでPCを広げ、仕事をしたのは初めての経験でした。
 
当日は天候もよく、首筋にあたる日差しが暑いくらいでした。ちなみに、雨が降った場合には、近くにあるレストランが仕事スペースとして提供されるそうです。
 
園内には、遊園地本来の楽しみ方を満喫する親子連れや、中高生らがいます。
アミューズメント施設、例えばジェットコースターに代表される絶叫マシンのメカニカルノイズも聞こえてきますし、各アミューズメント施設を案内するスタッフたちの声、お客さんたちの笑い声も聞こえてきます。
 
が、しかし…
これがまったく気にならないんですよね。
都内のカフェで仕事をするときには、キーボードをやけに強いチカラで叩く人が隣に来ると、気になったりもするのですが。ここでは、女子高生の笑い声すら、仕事への集中を導くBGMのように感じます。
不思議でした。
 
私は、普段から外出先で仕事をすることがよくあります。
そのため、事務所などではない、いわばアウェイな空間で仕事をすることには慣れています。そういう私ですら、遊園地という非日常空間で、仕事と向き合うことで、集中力のスイッチが入ったのでしょう。
とても気持ちよく、そして生産性の高い仕事ができました。
 
 

 
 
よみうりランドが提供するアミューズメントワーケーションの売り、それは観覧車のゴンドラを一時間貸し切りにできることです。
ちなみに、観覧車のゴンドラ内でも仕事ができるように、ポータブル電源とWi-Fiルーターも貸してくれます。
一時間の間に、観覧車は5周します。
最初に1周はひとりで搭乗。景色を眺めたり、写真を撮ったり、ひとりで盛り上がっている内に、1周目は終了。
2周目は、ドイツテレビのカメラマンと通訳が乗り込み、番組撮影のために、当社常務:鈴木とオンラインミーティングを行いました。
3周目は、インタビューを受け、4周目、5周目でようやく仕事開始です。
ちなみに、この原稿のプロットは、ゴンドラ内で書き上げました。
 
 
アミューズメントワーケーションの料金は、1,900円(平日)です。
ワーケーション利用時間は、16:00まで。ただし、料金には入園料も含まれ、16時以降も、園内に滞在することができます。折しも、よみうりランドでは、イルミネーションが行われていました。イルミネーションの撮影も行った私が、退園したのは19時過ぎ。
コワーキングスペースの利用料金としても、一日滞在して1,900円という値段は、お手頃です。
さらに、遊園地も楽しめるわけですから。これはかなりお得です。
ちなみに、アミューズメントの利用料金は、ワーケーション利用料には含まれていません。アミューズメントも楽しみたい方は、別途利用券を購入してくださいね。
 
 
 

ワーケーションが普及するために必要なこと

 

筆者の場合、出先で仕事をすることが多いため、モバイルディスプレイなども所有している。しかし、ワーケーション普及のためには、こういった機器の貸し出しも必要になってくるであろう。

筆者の場合、出先で仕事をすることが多いため、モバイルディスプレイなども所有している。しかし、ワーケーション普及のためには、こういった機器の貸し出しも必要になってくるであろう。


 
 
よみうりランドのアミューズメントワーケーションは、ワーケーションの中でも、特殊なものでしょう。
観光地にあるホテルや旅館などで行われるスタイルが、一般的なワーケーションだと思います。
 
とは言え、今回体験したよみうりランドのワーケーションには、ワーケーション普及につながる、多くのヒントがありました。
ワーケーションが普及し、一般化するために必要なことを考えてみましょう。
 
 

  • 仕事を快適に行うためのハード/インフラの整備
  •  
    よみうりランドでは、観覧車内でも仕事ができるように、ポータブル電源、Wi-Fiルーターも貸し出していました。
    また、コワーキングスペースでも、ディスプレイや電源タップ、プリンター、スキャナー、コピー機などの貸し出しを行っているところが多くあります。
     
    Wi-Fiなどのネットワークは必須ですが、仕事をする上で必要な設備や機器を提供できるかどうかは、特に宿泊を伴い、数日間にわたりワーケーションを行う上では欠かせない要素になるでしょう。
    ホテルや旅館の机や椅子は、背が低かったり、もしくは広さが足りないなど、仕事をする上では不適なケースもあるでしょう。客室内に仕事用の机と椅子を用意したり、ホテルや旅館の中、もしくは観光地内にコワーキングスペースを設けることも必要になってくるかもしれません。
     
    もちろん、ワーケーションを実現するためには、企業側のインフラ整備も必要です。
    リモート環境でも仕事ができるように、グループウェアや業務システムをクラウド化したり、もしくはリモートアクセスを可能とするインフラ整備が求められます。

 
 

  • ワーケーション提供側のホスピタリティ見直し
  •  
    私は、アミューズメントを楽しんでいる皆さんの歓声は気になりませんでしたが、気になる人もいるでしょうね。
    私自身も、数日間よみうりランド内で仕事を続けていたら、やがて気になるようになるかもしれません。
     
    仕事をする人と、遊ぶ人を同じ空間に共有させるのは、基本はNGではないでしょうか。
     
    さらに言えば、余暇として訪れた宿泊客と、ワーケーションを目的とした訪問客では、迎える側に求められるホスピタリティも変わってくるはずです。
     
    ワーケーションに求められるホスピタリティとは、どんなものなのか?
    これは、これから模索し、創り上げていく必要があるのでしょう。

 
 

  • 「何故、ワーケーションを行うのか?」
  •  
    現在のところ、ワーケーションは、提供する側のビジネスメリットが先行している感があります。
    観光地の宿泊施設からすれば、閑散期にワーケーションを謳い、宿泊者が訪れてくれれば、売上向上を期待できます。
     
    先のワーケーションに関するアンケートを振り返りましょう。
     

  • 「仕事と休暇のメリハリがつけにくい」 (ワーケーションへの懸念点 【自分自身が行う場合】)
  • 「生産性が落ちる」 (ワーケーションへの懸念点 【組織へ導入する場合】)
  •  
    これはダメですよ。
    ワーケーションと称し、休暇中にも仕事を強いる企業がいるとしたら、それはブラックです。
    ワーケーションによって仕事の効率が落ちるとしたら、企業としては、わざわざ手間とコストを掛けて、ワーケーション制度を社内に設ける必然性がなくなります。
     
    ワーケーションを何故行うのか?
    それは、ワーケーションを行うことによって、生産性向上が見込まれるからでなくてはなりません。
     
    かつて、私の知る企業では、集中的にブレインストーミングを行うと称し、会社の保養所にプロジェクトメンバーを全員招集し、しかし実際には昼食からビールを呑み始め、午後は宴会三昧をしているという話もありました。
    一方、別の企業では、保養所に社員を缶詰にし、朝から日付が変わるまで、徹底的に商品開発会議を続けるという話も聞いたことがあります。
    こういったケースは論外ですが。
     
     
    働き方改革が叫ばれ、働き方改革関連法案が施行され、残業規制がしかれた今、私たちの仕事観は、見直しを余儀なくされています。
    限られた時間内に、より価値のあるアウトプットを生み出す生産性向上は、もはや待ったなしです。
     
    「ワーケーションって、遊びながら仕事できるってことでしょう? 仕事名目で温泉地に行けるとか、憧れるよね」
     
    そんな甘えた認識がはびこっているうちは、ワーケーションが日本社会に根付くことは難しいでしょう。
    仕事は徹底的にアウトプットにこだわって行い、就業時間が過ぎたら、気持ちを切り替え、思いっきり楽しむ。
    そんな、メリハリが効いた、仕事効率をブーストする手段として、ワーケーションが広まることを期待したいです。
     
     
    そう言えば。
    今、都市近郊のキャンプ場では、昼間はキャンピングカーで仕事を行いながら、夜はアウトドアを楽しむ人たちが現れてきているそうです。
    いいですね…
     
    と言うか、キャンピングカーって、それなりのお値段がしますし、普段からメリハリの効いた、良い仕事ができている人なのでしょう。
    私も、いつかそんな仕事も遊びも達人になれる日が来るんでしょうかね??
     
     

    よみうりランドのアミューズメントワーケーション、なかなか刺激的でした。でも、ビーチチェアで仕事をするのは、腰が痛かったです(笑

    よみうりランドのアミューズメントワーケーション、なかなか刺激的でした。でも、ビーチチェアで仕事をするのは、腰が痛かったです(笑


     
     
     

    参考

     
    よみうりランド アミューズメントワーケーション
     
     
     
     


関連記事

■数値や単位を入力してください。
■変換結果
■数値や単位を入力してください。
■変換結果