秋元通信

なぜ、ネット広告に注目が集まるのか?

  • 2021.7.28

新型コロナウイルスは、さまざまな分野に影響を及ぼしています。
 
2020年、日本の総広告費は、前年比88.8%、6兆1,594億円となりました。これも、新型コロナウイルスの影響のひとつです。特に2020年4~6月期に、各種イベントや広告販促キャンペーンが軒並み中止されたことが、売上減の大きな原因となったとされます。
 
そんな中、気を吐いたのが、インターネット広告です。
 
電通が毎年発表する『2020年 日本の広告費』によれば、新聞、雑誌、ラジオ、TV、屋外広告や交通広告など、多くの広告媒体が売上を下げる中、インターネット広告費は、過去最高の2兆2,290億円を記録しました。前年比105.9%の成長であり、マスコミ四媒体広告費(新聞、雑誌、ラジオ、TV。2020年実績:2兆2,536億円)に迫りつつあります。
 
インターネット広告費の中でも、物販系ECプラットフォームにおける広告費用は、前年比124% / 1,321億円のマーケットにまで成長しています。
 
 
 

資生堂が中国EC大手アリババと業務提携を行った理由

 
2019年3月、資生堂は中国におけるEC大手であるアリババグループとの業務提携を発表しました。
加えて、『アクエア(AQUAIR)』なるオリジナルブランドを、アリババで独占販売することも発表しました。
 
資生堂は、なぜAmazonでも楽天でもなく、アリババと、このような戦略的な業務提携を締結したのでしょうか?
 
資生堂のプレスリリースでは、その理由を以下のように説明します。
 
『今回の戦略業務提携の締結によって、資生堂の研究開発力と、アリババグループの持つビッグデータと消費者インサイトを融合することにより、商品開発、ブランドマーケティング、Eコマース、CRM等の幅広い領域を強化します。これにより、中国市場向けの新商品開発や、中国の消費者のニーズに適したサービス提供を行い、若年層などの新たな顧客層の獲得を目指します』
 
前回記事において、行動ターゲティング広告とは、Webサイトの閲覧履歴や検索履歴などから取得した生活者の趣味嗜好、行動パターンなど(※以下、本記事では生活者の属性情報と呼びます)を絞り込み、生活者によりマッチした広告を配信する手法であると申し上げました。
 
アリババは、AmazonやGoogle、Facebookよりも、さらに詳細な生活者の属性情報を保有しているとされます。だから、資生堂は、Amazonでも楽天でもなく、アリババと手を組んだのです。
 
ワールドワイドなIT巨人企業を表すGAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)に対し、中国における検索大手バイドゥ、EC大手のアリババ、メッセージアプリやゲームを提供するテンセントの頭文字を取り、BATと呼びます。
 
GAFAはグローバルに事業を展開しますが、その事業範囲はそれぞれ特定の事業分野に集中しています。
対して、BATは、中国国内での事業が中心ではあるものの、主力事業以外にもさまざまな事業分野に展開、もしくは出資していることから、生活者の属性情報に対する把握は、GAFAよりも深く広いとされているのです。
 
「中国は巨大ですが、デジタル化によって見えやすくなった」──、資生堂の藤原 中国地域CEOはこのように語っています。
例えば、「中国人女性は日本人よりも洗髪の回数が少なく、髪が脂っぽくなりやすい」という悩みは、アリババと資生堂がビッグデータを解析して導き出したもの。このマーケティング結果は、『アクエア(AQUAIR)』の開発に活かされました。
 
アリババは、EC事業者の枠を超え、メーカーのマーケティング、消費者分析、商品開発などに協力できる、ソリューションプロバイダへと転身を遂げつつあるのです。
 
 
 

なぜ、インターネット広告が注目されるのか?

 
かつて筆者は、あるメーカーの商品開発ジャーニーにおいて、マーケティングを担当したことがあります。
 

  1. 仮説を設定。
  2. 仮説検証のため、1,000名強を対象にアンケート調査を実施。
  3. アンケートを分析、商品ニーズの解析、仮説の検証を実施。

 
このメーカーは、ややのんびりペースだったとはいえ、1.から3.のプロセスを4年間繰り返しました。私が担当したプロジェクトだけで、費用は3千万円強に及んでいます。
しかし現在では、生活者の属性情報を利用することによって、圧倒的に短期間で、かつより精度の高いマーケティングを行うことが可能になります。
 
 
これは、多くの方が勘違い、もしくは知らないことなのですが。
インターネットにおいて、Webサイトを閲覧するということは、同時に、閲覧した先のWebサイトからも、「あなたが見られている」ということに他なりません。
 
この特性を活かすことで、TVやラジオ、新聞・雑誌、もしくは折込や屋外ディスプレイのような旧来の広告メディアに比べ、インターネット広告では、効果測定を行うことが容易になっています。
なかでも行動ターゲティング広告は、効果測定をそのまま次の広告施策(戦略)に反映しやすいという特性も併せ持ちます。
 
インターネット広告が注目される理由には、このような背景があるのです。
 
さて、次回こそは情報銀行の話をしましょう。
行動ターゲティング広告に対する規制も紹介しつつ、情報銀行が注目される理由をご案内します。
 
 
 

参考

 

  • 『個人情報ゴールドラッシュ』
    週刊ダイヤモンド 2020/4/18

 
 
 

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