秋元通信

「行動ターゲティング広告のこれからを占う鍵となるか?」、情報銀行を解説

  • 2021.8.24

信用スコアから始まり、行動ターゲティング広告、ネット広告の優位性まで3回にわたり解説してきました。
今回は、情報銀行を解説しましょう。
 
 
 

行動ターゲティング広告の影、コンプレックス広告とは

 
さて、まずは行動ターゲティング広告について、おさらいしましょう。
 

「行動ターゲティング広告とは、ターゲットとなるWebサイトの閲覧者や、モバイルアプリなどの利用者(※まとめて生活者と呼びます)の閲覧履歴、検索履歴などの行動を追跡することで、生活者の趣味嗜好、行動パターンなどを絞り込み、生活者によりマッチした広告を配信する手法を指します」

 
行動ターゲティング広告の台頭によって、ネット広告は今や旧来の広告(TVやラジオ、新聞、雑誌、もしくは野外広告など)に迫る存在となりました。
広告主から見た、行動ターゲティング広告のメリットは、旧来の広告に比べ、より自社製品に興味を持ちそうな相手にターゲットを絞り広告をうつことができる点にあります。
 
一方、行動ターゲティング広告は、生活者にとってもメリットがあります。
多くの情報があふれる現代ゆえに、自分が求める情報にたどり着くにも手間と技術が必要となっています。
 
行動ターゲティング広告は、生活者にとっても、より求める情報にアクセスしやすくなり、現代のネット社会を生きやすくしてくれる可能性があります。
 
ただし、行動ターゲティング広告には負の面もあります。
「現代のネット社会を生きやすくしてくれる可能性」はあるものの、一方で不愉快な広告も表示されるのは事実です。
 
代表的なものに、コンプレックス広告があります。
容姿などに代表される劣等感を指摘し、商品の宣伝を行う広告のことです。
 
例えば、ダイエット、肌荒れ、薄毛、体臭など、特にYoutubeなどではコンプレックス広告がたびたび登場します。英会話や、高収入の副業をうたう広告なども、生活者の劣等感を利用しようとする、コンプレックス広告の亜種と言えるでしょう。
 
行動ターゲティング広告には、生活者の人生を豊かにする可能性があります。
しかし、コンプレックス広告など、行動ターゲティング広告を不愉快な目的に使う輩のために、行動ターゲティング広告全体の印象が悪くなっていることも、事実です。
 
行動ターゲティング広告を、生活者にとって望ましい形で発展させるためにはどうしたら良いのか?
 
そこで、考え出されたのが、情報銀行です。
 
 
 

情報銀行とは

 
情報銀行とは、生活者自身の趣味嗜好や行動パターン、年令や性別、家族構成などのパーソナルデータをストックし、生活者に代わって適切に管理、企業などが行動ターゲティング広告を出稿する際に、生活者があらかじめ決めたルールや提供先に従い、安全を保ちつつ、企業に対し、パーソナルデータに対して提供する機関を指します。
 
銀行が、個人からお金を集め、適切に管理するのに対し、情報銀行では、個人からパーソナルデータを集め、個人に代わって適切に管理してくれます。
 
行動ターゲティング広告が抱える課題の基点は、誰がどこで生活者のパーソナルデータを取得しているのか、そして取得されたパーソナルデータが誰に流れ、どのように利用されているのかが、生活者には分からない点にあります。
しかし、もしパーソナルデータの管理を、すべて生活者自身に委ねられたところで、とても管理しきれないでしょう。そこで、情報銀行があなたに代わって、あなたのパーソナルデータの利活用を管理してくれるのです。
 
生活者は、自ら情報銀行に登録し、そしてパーソナルデータを預けます。
年齢や性別、家族構成などとともに、自身が興味のある分野などをあらかじめ登録しておくのです。
また日々発生するパーソナルデータを、発生するたびに情報銀行に登録することもできるでしょう。
 
例えば、生活者が日々の活動の中で移動した位置情報を提供すれば、その周辺の飲食店などがクーポン等を広告配信することができます。
例えば、体活動計などから得られる、脈拍や運動量などのデータを提供すれば、食品メーカーやスポーツジム、もしくは生保などが広告を打ちやすくなります。
 
生活者は、情報銀行にパーソナルデータを預ける代わりに、ポイントバック等の恩恵を受けることができます。
 
情報銀行は、2018年に国が公表した「情報信託機能の認定に係る指針」によって、ビジネスモデルが形成されました。現在は、一般社団法人日本IT団体連盟によって、情報銀行に対する認定マークが発行されています。
現在、認定を受けた事業者は、こちらから確認できます
 
私たちがよく知る企業では、中部電力や三井住友信託銀行株式会社が認定を受けています。
 
 
情報銀行が生まれた背景に、私たち生活者のパーソナルデータを、適切に利活用(行動ターゲティング広告など)しようとする意思があるのは確かです。
ただし、一方でEUを始めとする海外で実施されている、行動ターゲティング広告に対する規制(3rd Party Cookieに対する規制)が、情報銀行に対するニーズを高めています。
そして、情報銀行の存在は、GoogleやFacebookといった、巨大IT企業に対するけん制としても働く可能性が指摘されています。
 
この話は、次回に引き継ぎましょう。
お楽しみに!
 
 
 

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