秋元通信

神田川を源流から河口まで走る【おとなの自由研究 前編】

  • 2022.8.8
源流のある井の頭公園内の神田川。都心を流れる神田川とは違った表情を見せています。

源流のある井の頭公園内の神田川。都心を流れる神田川とは違った表情を見せています。

 
 
 
「神田川」と聞いて、皆さまは何を思い浮かべますか?
名曲「神田川」を思い出す人もいれば、神田川近くの風景を思い出す人もいるでしょう。
 
しかし、神田川そのものについて、きちんと知っている人は少ないかもしれません。
 
神田川は、井の頭公園内にある井の頭池を源流に、隅田川まで流れる流路延長24.6kmの一級河川です。また、江戸の発展とともに神田上水に分岐され、玉川上水とともに江戸の人々の暮らしを支えた重要なインフラでもありました。

神田川を源流から河口まで自転車で走り、神田川の今と昔を振り返ったレポートをお届けしましょう。

 ※画像はすべてクリックで拡大します。
 
 


これが神田川の源流です。
井の頭公園にある井の頭池の東端部分から神田川は流れ出しています。
 
 
久しぶりに井の頭公園を訪れましたが、この広大さ、開放感は、やはり魅力です。
この企画を行った2022年8月2日も、晴天に恵まれ、とても心地よかったです。
 


神田川は、ここ井の頭池を源流に、都内を東に向かって横断し、浅草橋付近で隅田川に注ぐ、流路延長24.6kmの一級河川です。今回の企画では、なるべく神田川の川沿いをたどり、自転車で河口まで走り抜けます。
 


当日、東京都内の最高気温は35.2℃。午前中で既に34℃を超えていましたが、装備のおかげ(※後述します)もあり、また走りやすい道路、遊歩道が続くこともあって、気持ちよくサイクリングを続けます。
井の頭公園から環七を超える高井戸駅付近までは、ずっと京王線と手を取り合うように神田川は流れ続けます。途中、三鷹台駅を越えたあたりで少し道が分かりにくいところがありますが。「こっちかな?」と考えながら走るのも、なんだか楽しいです。
 


環七の手前まで来ると、「神田川・環状7号線地下調節池」の取水口があります。
以前、埼玉県春日部市にある首都圏外郭放水路をご紹介したことがありましたが、あれと同じく、神田川流域の治水のために設けられた洪水の貯留施設です。ここ、定期的に見学会も行っているようです。機会があれば、ぜひ訪れたいものです。
 


中野富士見町駅付近から、車止めが数十mごとに行く手を阻み、スピードも上がりません。先ほどまでの心地良いサイクリングは失せ、うだるような暑さの中、ストップ&ゴーを繰り返していると、ふと「あれ、俺、なんでこんなことをしているんだろう??」という気持ちになってきます。
 
そして、アクシデントが発生しました。
 

暑さ対策の要、ハイドレーションシステムのホースが割れました...

暑さ対策の要、ハイドレーションシステムのホースが割れました…

 

当日の暑さ対策


 
神田川から少し話が外れます。
当日は、朝から猛暑が予想されていました。根性で暑さを克服する気など、軟弱な筆者にはさらさらありません。そもそも、前号でお伝えしたとおり、軽症だったとはいえ、新型コロナウイルスを克服したばかりですし。
 
筆者が用意していた暑さ対策をご紹介しましょう。
 

    • 水の入ったスポーツボトル
      保冷機能などがない、ただのスポーツボトルです。中には水を入れ、走りながら定期的(20分ごと目安)に太ももに水をかけます。
      太ももには太い血管も走っていますので、走っていれば水が蒸発する時の気化熱で身体が冷やされるという理屈です。

 

    • ハイドレーションシステム
      これが暑さ対策の要です(でした)。
      ハイドレーションシステムは、水を入れる袋状の水筒部分とホース、飲み口が備えられています。筆者の場合、水筒部分には、1Lの水と1kgの氷を入れ、それをハイドレーションシステム対応のザックに入れます。ザックにはホースを通すための穴が開いており、肩口からホースと、その先の飲み口を出しておきます。これで走りながら水分補給ができるというわけです。
      炎天下での水分補給は、喉が渇いた時点ですでに手遅れだと言われています。
      筆者の場合、5分~10分以内に一口ずつ水分補給をするように心掛けています。

 
最近はめっきりサイクリングから遠ざかっていますが、かつて筆者は、炎天下でもこの装備で100km、時に200kmオーバーのサイクリングもこなしてきました。
でも、もうそんな自信はありません(泣)
そこで、もう一つ秘密兵器の投入です。
 

  • 冷却式ネッククーラー
    ファン式ではなく、冷却プレートで直接頸動脈を冷やすネッククーラーです。
    最近、保冷剤や気化熱を利用したものもありますが、冷却式ネッククーラーの優れた点は、バッテリーが切れない限り、何時間でも冷却し続けることです。
    これですね、ホントに楽なんですよ。
    冷却プレートを指で触っても、それほど冷たい感じはないのですが、炎天下でこれを着けていると身体のほてりが抑えられるのがはっきりと体感できます。

 

と、これらを身に着けてサイクリングを続けてきたのですが、新宿副都心を望む淀橋付近で、ハイドレーションシステムのホースが割れました。
まあ、10年くらい使い続けていたので、経年劣化なんでしょうけど、よりによって今回壊れるかと….
 

淀橋。かつては淀橋浄水場がありました。都庁を始めとする副都心は、淀橋浄水場跡に建てられたものです。

淀橋。かつては淀橋浄水場がありました。都庁を始めとする副都心は、淀橋浄水場跡に建てられたものです。

とりあえず、落合地区を抜けて、高田馬場まで走りますが、さてどうしたものか??
残りは約8km。大した距離ではありません。
コンビニ、自販機で冷たい飲料を補給し続ければ、熱中症のリスクも避けられるでしょう。とは言え、一度萎えた気持ちは、やめる理由を探し続けています。
と、ここで電話が掛かってきました。
 
「急なんですけど、今日、オンラインで打ち合わせできませんか?」
 
はい、中断決定ですね(笑
残り8kmは、翌日に回すことにしましょう。
 

高田馬場駅のすぐそばの神田川では、「神田川親水テラス」なる試みが行われていました。 神田川に入ることができるイベントです。

高田馬場駅のすぐそばの神田川では、「神田川親水テラス」なる試みが行われていました。
神田川に入ることができるイベントです。

 
高田馬場から浅草橋(河口)までの残り8kmの様子は、次号でお届けしましょう。
東京都水道歴史館で得た情報などももとに、神田川と神田上水の歴史もお届けします。
 
 
 

今回の走行ルート(GPS計測データ)

 

 
 
 

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