秋元通信

5分でわかる、「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」

  • 2023.6.29

2023年6月2日、経済産業省、農林水産省、国土交通省は、連名で、発荷主事業者・着荷主事業者・物流事業者が早急に取り組むべき事項をまとめた「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」を策定、発表しました。
 
このガイドラインについて、「5分で読める」文字ボリュームに合わせ、ざっくりと解説しましょう。
 
 
 

そもそも、このガイドラインの目的は?

 
先日、秋元通信でも取り上げた、「物流革新に向けた政策パッケージ」では、荷主企業および物流事業者に対し、「物流の適正化・生産性向上に向けて、『自主行動計画』を、2023年中に、作成・公表しなさいよ!」としています。
 
この自主行動計画のベースとなるのが、今回のガイドラインなのです。
 
 
 

ガイドラインの構成は?

 
発荷主事業者、着荷主事業者、物流事業者の3者ごとに、それぞれ「実施が必要な事項」と「実施することが推奨される事項」を定めています。
 
 
 

一番の注目ポイントは?

 
荷待ち・荷役作業等に掛かる時間を2時間以内とする、「2時間以内ルール」が一番の注目ポイントでしょう。
 
「2時間以内ルール」について、「長時間の荷待ちや、契約にない荷役作業などをさせてはいけませんよ!」とガイドラインでは明文化されています。
 
暗黙のルールとして行ってきた、ドライバーによる自主荷役、棚入れなどは、「きちんと運送契約に明記した上で、運賃と別に対価(料金)を支払いなさいよ!」とされています。
 
 
 

その他の注目ポイント

 

  • 発荷主、着荷主ともに、物流管理統括者を選定しなければならない。しかも、役員クラスのアサインを推奨していること。
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  • 発荷主、着荷主ともに、運賃、料金、あるいは非効率な作業の改善や、物流合理化に向けた協議が、物流事業者から行われた場合には、真摯に協議に応じなければならない。
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  • 異常気象などによって、物流事業者が、運行の中止・中断を判断した場合、発荷主・着荷主は、その判断を尊重しなければならない。
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  • 運送契約の書面化と適正化を進めなくてはならない。発荷主・着荷主は、運賃・料金の協議に積極的に応じなければならないし、高速道路の利用推奨を行わなければならない。
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  • 着荷主は、納品までのリードタイムを十分に確保しなければならない。もし、納品リードタイムを短縮する場合には、自ら引取輸送など、輸送手段を準備しなければならない。
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  • 物流事業者は、長時間労働を抑制するとともに、運送時間、庫内作業時間、荷待ち・荷役時間等を把握した上で、分析し、生産性向上に向けた改善活動を行うことで、効率化・合理化を図らなければならない。
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  • 物流事業者は、「特段の事情なく多重下請」を発生させないように留意したうえで、下請事業者の取引条件が不利にならないように、運送契約の書面化等々の措置を講じなければならない。

 
その他、推奨事項としては、バース予約システムの導入、パレタイズ(1100mm×1100mmパレットを推奨)と標準化の推進、物流コストの可視化などが挙げられています。
 
 
何と言うか、これまで無法地帯だったところに、よくこれだけのガイドラインを持ち込んできたものだなぁ、と筆者などは思ってしまいますが。
 
このガイドラインの遂行を監視するのが、前号でご紹介したトラックGメンなんでしょうね。
 
このガイドラインが絵に描いた餅になるのか、それとも物流ビジネスを革新する起爆剤となるのか?
 
今後の動向に注目しましょう!
 
 
 


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