秋元通信

「小首をかしげる」は、実は良いサイン──ボディランゲージを理解し、聞き上手になる!

  • 2024.1.31

「小首をかしげる:
首をちょっと傾けて考えをめぐらす。また、不審に思ったり不思議に思ったりして首をちょっと傾ける。小首を傾ける」
 
出典:goo辞書

 
 
 
このように、「小首をかしげる」というのは、必ずしも良い意味だけではありません。
「私の提案に対し、クライアントは小首をかしげた」と言えば、提案内容に対し、何かしらの疑問や不満を感じたことを指します。
 
しかし、コミュニケーションの観点から「小首をかしげる」状態を考えると、「小首をかしげる」というボディランゲージは決して悪いことではないそうです。
 
 
 
 

相手の心理を見抜く、元FBI捜査官の観察眼

 

  • あなたを慕っている相手は、自然と「小首をかしげる」
    脅威を感じる相手には、「小首をかしげ」人体の弱点である頸動脈を晒すことはないから。
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  • 「あなたのしぐさを真似る」のもあなたを慕っている証拠
    人は好ましい相手のしぐさを真似る傾向がある。これをミラーリングという。
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  • 「眉がさっと上がる」のは友情のシグナル
    近づいたときに瞬間的・条件反射的に1/6秒ほど眉が上下するのは、本人が無意識に相手に対して送る友情のシグナル。
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  • 手のひらが上向きのジェスチャーは真実の証
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  • 頭を後ろに引いたら、「嘘をつく」兆し
    不誠実な人は自身に不安を与える人から距離をおきたがる。そのため、「嘘をつく」「正直に答えられない」ときは、1~2秒、頭を後ろに引くことがある。
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  • 「はい」ではなく、「ええ」「あの~」などから会話を始めるのは、「嘘をつく」兆し
    「はい」「いいえ」で答えられる直接的な質問に対し、「ええ」「あの~」などの言葉で話し始めるのは、「はい」「いいえ」で回答しづらいから。結果、嘘の付く可能性がある。
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  • 肩のすくめ方
    両肩が均等に少し上がる場合は、真実を語っている。逆に左右が非対称に上がる場合は、嘘をついている。
    これは「肩をすくめる」という動作が特殊内蔵求心性線維(SVA)という脳神経が部分的に支配しているためであり、無意識に出てしまう動作だから。

 
 
さて、いかがですか?
これは元FBI捜査官によるボディランゲージの一部ですが、思い当たるもの、あるいは「ちょっとこれはどうなんだろう?」というものもあるのではないでしょうか。
 
これらのボディランゲージは、人が無意識に行ってしまうものであると同時に、人が無意識に受け取ってしまうものです。
「あの人、なんとなく馬が合わないんだよな」「あの人は物腰は柔らかいんだけど、なぜか威圧感を感じる」といったケースでは、ボディランゲージが無意識下で相手にネガティブなメッセージを送っている可能性があります。
 
 
 
 

「微表情」を読み取る

 
抑制された感情が無意識かつ瞬間的に表れては消える、微細な表情のことを「微表情」と呼ぶそうです。
多くの場合、0.2秒以下のため、「微表情」を読み取るのはかんたんではありませんが…
 

  • 「怒り」の微表情
    • 眉が中央に寄り、眉間にシワが寄る。
    • 目が見開かれる。
    • 口角が引かれ、唇が真一文字になる。

     

  • 「驚き」の微表情
    • 眉が引き上げられる。
    • 目が見開かれる。

     

  • 「嫌悪」の微表情
    • 鼻の周りにシワが寄る(しかめっ面)

     

  • 「軽蔑」の微表情
    • 片方の口角が引き上げられる。

     

  • 「恐怖」の微表情
    • 眉が引き上げられつつ、中央に寄る。
    • 目が見開かれる。
    • したまぶたがこわばる。

     

  • 「悲しみ」の微表情
    • 眉の内側が引き上げられる(眉がハの字になる)。

     

  • 「幸福」の微表情
    • 口角が上がる。
    • 口が少し開く。

 
なかなか難しいですね。
「目が見開かれる」は、怒り、驚き、恐怖のそれぞれで登場するため、他の動作が伴うかどうかで判断するそうです。
 
総じて見ると、眉と口角の動きで判断するのが妥当だと考えるべきでしょう。
 
 
 
 

話法で相手をコントロールする

 
ボディランゲージで注目すべきは、ミラーリングです。
話が上手で、かつ相手をうまく説得できる人(※優秀な営業マンなど)は、意識的にボディランゲージや微表情をコントロールし、相手の無意識下にメッセージを送ります。
 
とは言え、これはなかなか難しいです。
営業会社の中には、鏡を前に営業ロールプレイングをさせることがありますが、これは「意識的にボディランゲージや微表情をコントロールすること」を身に付けさせるためです。
 
ここまでやらずとも、話法によって相手を説得するテクニックを身に付けることも可能です。
 
代表的な話法を紹介しましょう。
 

レトリック話法
オハイオ州立大学の教授は、「学生には厳しい試験を課す方が良い」主張よりも「試験をすると、学生自身のためになるのではないだろうか?」という質問のほうが学生の同意を得られることを研究しました。
相手の行動を決めつける断定型の発言よりも、質問形式のほうが相手の心に訴えるチカラが強いのです。
 

  • ファントムオプション
    「松竹梅」3つの選択があったときに、人は「竹」の選択をしがちであるという心理があります。
    ファントムオプションは、この応用です。
    Aという提案を相手に選ばせたいときに、実現可能性や費用対効果などで劣る別の提案BやCも同時に提示することで、Aの優位性を引き立たせる手法です。
    ただし、やりすぎるとおとり広告などをみなされる可能性もあります。
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  • 催眠話法
    「もしこのクルマを買ったら、どこにドライブに行きたいですか?」
    「このクルマを買う人は、お子さんがいらっしゃる家族が多いんですよ」
    「このクルマはオーナー満足度も高くて、『次にクルマを買い替えるのであっても、モデルチェンジされた同じクルマを買う』という人が多いんです」
     
    このように、キーワードとなる同じセリフ(この場合は「買う」)を複数回盛り込むことで、相手の無意識下にこちらが望む選択を刷り込む方法です>
    なお、催眠話法では最低3回繰り返すべきとされています。
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  • 漏れ聞き効果
    「このサプリメントはとてもよく効く」という言葉も、セールスマンから言われるよりも、第三者から聞いたほうが真実味が増します。
    ECサイトにおける口コミレビューなどは、この効果を狙ったものです。
     
    製品やサービスを売り込みたい相手がいて、かつ共有の知人がいる場合には、その知人を通じて、製品やサービス、あるいはターゲットとなる売り込み先に対する印象(もちろん、ポジティブなものである必要があります)をインプットしてもらうことで、成約確率が格段に上がります。
    ちょっと手間はかかりますけどね。

 
 
余談です。
 
営業成績が伸び悩んでいる営業マンがいました。
彼は論理的に物事を説明することもできますし、お客さまの現状把握と分析能力にも長けていました。しかし、イマイチ営業成績が伸び悩んでいました。
 
筆者は彼の営業に同行し、足りないのは非論理的な部分だと感じました。
端的に言えば、彼は「頭は良いけど、人間味の薄い営業マン」だったのです。
 
そこで彼には、「今までよりも話す割合を半分に減らし、逆にお客さまの話を聞く割合を倍に増やすこと」をアドバイスしました。
もちろん、いきなりできるものではありません。しかし、彼は彼なりに聞き上手になる方法、聞き上手になるために必要なしぐさを考え、そして実践しました。本稿でご紹介したようなテクニックもレクチャーしましたけどね。
 
結果、彼はメキメキと営業成績を上げ始めました。
 
 
営業のような交渉の場に限らず、本稿で取り上げたようなボディランゲージや話法を上手に使いこなすことは、とても大切です。コミュニケーションを円滑に行うことができるようになりますから。
 
皆さまのご参考になれば幸いです。
 
 
 


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