秋元通信

インターンシップのジレンマ(秋元インターンシップレポート)

  • 2019.12.18

「当社は、新卒採用を行わないので、インターンシップを行う必要がありません」

 
 
秋元運輸倉庫がインターンシップを行っていることを踏まえた上で、よくこのような言葉をお聞きすることがあります。
 
今回は、インターンシップに関するリクルートのアンケート調査を考察しながら、企業がインターンシップを行う意味、そしてジレンマを考えてみましょう。
 
 
リクルートキャリアが調査した『就職白書2019 インターンシップ編』によれば、新卒採用を予定している企業のうち、2018年度にインターンシップを実施した企業は、95.9%でした。2017年度が84.6%だったので、大幅に増えていることになります。
インターンシップを実施した企業に対し、実施目的を尋ねたところ、上位5位には、以下のような回答が得られました。
 

    1位:
    「仕事を通じて、学生に自社を含め、業界・仕事の理解を促進させる」(88.2%)
     
    2位:
    「入社意欲の高い学生を絞り込む」(46.1%)
     
    3位:
    「学生に 就業体験の機会を提供することで、社会貢献する」(43.4%)
     
    4位:
     
    「採用を意識し学生のスキルを見極める」(42.5%)
     
    5位:
    「将来の顧客となり得る学生に 対して、自社に 対する理解・イメージアップを促進させる」(37.0%)

 
 
興味深いのは、3位の「学生に 就業体験の機会を提供することで、 社会貢献する」です。
2014年調査では、2位(74.9%)だったのが、現在では随分と順位、割合とも下がっています。
 
 
一方で、インターンシップを実施した成果を質問した結果もご紹介しましょう。
(これは、あくまで企業側の主観評価だと思われます)
 

    1位:
    「仕事を通じて、学生に自社を含め、業界・仕事の理解を促進させる」(79.0%)
     
    2位:
    「学生に 就業体験の機会を提供することで、社会貢献する」(30.1%)
     
    3位:
    「入社意欲の高い学生を絞り込む」(28.2%)
     
    4位:
    「将来の顧客となり得る学生に 対して、自社に 対する理解・イメージアップを 促進させる」(26.9%)
     
    5位:
    「採用を意識し学生のスキルを見極める」(26.4%)

 
 
目的、成果を見比べると、順位こそ異なるものの、上がっている項目は同じです。
そこで、各項目について、その割合(%)を達成度を測る指数として、「目的(%)-効果(%)」を算出してみました。
 

 
すると、「入社意欲の高い学生を絞り込む」(17.9)、「採用を意識し学生のスキルを見極める」(16.1)という、採用に直接関係する項目の指数が高いこと(目的と効果のギャップが大きいこと)が分かります。
 
つまり、この2項目は、効果として望む企業が多いものの、実際には効果を体感できた企業が少ないことを指します。
 
 
一方、学生側はどうでしょう。
2019年卒の学生のうち、インターンシップに参加した学生に対し、インターンシップへの参加目的をヒアリングしました。
 

    1位:
    仕事理解(69.4%)
    業種理解(69.4%)
     
    3位:
    企業・職場の雰囲気を知る(39.5%)

 
 
「内定獲得(採用直結)」(12.7%)、「社会人との人脈構築」(10.1%)のように、直接採用につながるような期待を持ってインターンシップに参加する学生は、あまり多くないことが分かります。
 
また逆に、インターンシップに参加しなかった学生に理由を聞いたところ、以下のような理由が挙げられました。
 

    1位:
    「インターンシップの内容に魅力を感じなかった」(37.0%)
     
    2位:
    「学業など、他の活動で忙しかったから」(23.9%)
     
    3位:
    「採用選考上有利になると思わなかった」(15.2%)

 
 
こういったアンケート結果を考察すると、こんなことが見えてきませんか?
 

  • インターンシップ=内定を期待する学生は、10人に1人程度。むしろ、インターンシップと内定は分けて考え、自分自身の社会感形成効果に期待をしている学生が多い。
  • インターンシップ=採用募集を期待する企業は、4社に1社強。しかし、その結果は芳しくない。インターンシップを行っている会社の多くは、自社・業界PR、社会貢献など、ブランディングに目的を求めている企業が多い。

 
 
さて、先の言葉に戻りましょう。
 

「当社は、新卒採用を行わないので、インターンシップを行う必要がありません」

 
きっと、この言葉は、発したご当人が思う以上に、複雑な意味を持っています。
当社の経験を踏まえ、断言しましょう。
 

  • インターンシップを開催すれば、採用に必ずつながるというのはありえない。
  • インターンシップは、確かにCSR活動や業界のイメージアップなど、会社のブランディング戦略に利用できる。しかし、手間がかかる。

 
 
はっきりと言えば、インターンシップ開催は、企業の立場からすれば、労多くして実りの少ない活動かもしれません。それは、ここ数年こだわったインターンシップを継続してきた当社だからこそ、感じることかもしれませんが…
 
ではなぜ、当社はインターンシップを続けるのでしょうか?
 
 
少し話が変わりますが、今夏、当社ではIndeedを使ったトラックドライバー採用活動を行いました。率直、結果は芳しくありませんでした。
Indeedによれば、今夏1ヶ月間で「大型トラックドライバー 東京都港区」と検索された回数は、900回ほどだったそうです。港区内に運送会社がいくつあり、そしていくつの運送会社がIndeedで募集をかけていたのかは不明ですが、それでもひと月で900回あまりしか検索されないというのは、異常に少ないです。
 
現在、物流業界の人不足、とりわけトラックドライバー不足が、業界内での課題を超え、社会問題となりつつあります。
これは、トラックドライバーという職業が、3Kなどを理由に敬遠されていることも一因でしょう。しかし、私どもが肌感覚として懸念しているのは、嫌われているのではなく、眼中にない、つまり選択肢にすら挙がらないという恐怖に近い焦燥感です。
トラックドライバーだけではありません。倉庫作業員も然り、そもそも物流業界で働くというイメージを持つことができる人は、どんどん高齢化しています。多くの若者たちは、自分が物流業界で働くなど、イメージすらしませんし、できません。
 
なぜか?
答えは簡単で、「物流業界がどういう仕事をしているのか知らない」からです。
 
先日、当社では恒例のインターンシップを開催しました。
今回は、2社の物流企業様が見学に訪れてくれました。1社は、なんと岡山県からの来訪です。
いずれも、物流業界を変えていきたい、という志のもと、見学してくださった方々です。
 
とは言え、当社もこのようなインターンシップを継続し続けるのは難しくなってきています。
なにせ、手間がかかりますからね…
当社としても、来年はインターンシップ開催回数を減らす予定です。
 
 
まとめましょう。
インターンシップを、会社のブランディング(イメージ戦略やCSR活動)や、採用活動に結びつけるのは簡単ではありません。しかし、継続すれば、(少しづつかもしれませんが)必ず効果が出ます。
逆に言えば、効果が出ないのであれば、なにかボトルネックとなる課題が存在しています。その課題が解消できないのであれば、インターンシップを中止するのも致し方のないことだと思います。
 
インターンシップを行う物流企業が増えていけば、物流業界のイメージアップにつながるでしょう。特に業界として高齢化が進む物流業界において、若年層にアピールできるインターンシップは、地道ではありますが、やはり行うべきことだと思います。
 
ぜひ、多くの物流企業が、インターンシップに取り込んでくれることを期待します。
微力ながら、当社には応援できる仕組みもありますので。ご興味のある方は、ぜひお問い合わせください。
 
 
 

2019年12月開催 高校生向けインターンシップの様子

 
2019年12月に高校生5人を迎えて実施したインターンシップの様子をお届けします。
 
 


 
 
 

出典

 
『就職白書2019』 就職みらい研究所/リクルートキャリア
https://data.recruitcareer.co.jp/white_paper_article/20190225001/
https://data.recruitcareer.co.jp/wp-content/uploads/2019/02/c07a2df34dc6f701c465a6dbc3df4850.pdf


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