秋元通信

「一日1万歩」は間違いだった!?、 国が定めようとしている新たな運動基準とは?

  • 2023.12.15

「健康を維持するためには、一日1万歩歩かなければならない」──実はこれ、間違いだったそうです。
 
健康に日々を過ごし、より長生きをすることは、多くの人の望みです。そのため、さまざまな研究が世界各国で行われていますが、この「一日1万歩が間違い」というのも研究の結果分かってきたことです。
 
政府は今、こういった最新の研究や知見をもとに、「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」を作成しようとしています。現時点で分かっている、このガイドラインの内容をご紹介しましょう。
 
 
 

実は、一日1万歩も歩く必要はなかった

 
「実は、一日1万歩も歩く必要はなく、5000~7000歩で健康を維持できる」──これを発表したのは、早稲田大学スポーツ科学学術院助教 渡邉大輝氏です。
 
そもそも、「一日1万歩」を世に広めたのは、万歩計だったという説があります。1964年に開催された東京オリンピックを機に、1965年に万歩計(当時の名称は「万歩メーター」)が発売され、「一日1万歩」が広まったのだとか。
 
このように聞くと、恵方巻きを思い出しませんか?
「一日1万歩」の起源は諸説あるものの、企業がマーケティング手段のひとつとして「一日1万歩」を広めたというのは、いかにもありそうな話です。
 
65歳以上の高齢者を対象に、歩数と死亡リスクの関係を研究している渡邉氏によれば、歩くことによって死亡リスクは減らせるものの、その効果は、5000~7000歩で頭打ちになるそうです。海外の研究でも、6000~8000歩で効果が頭打ちになることが発表されています(※ただし、研究対象は60歳以上)。
 
ただし、健康維持と歩数の関係には諸説あります。
 
いわく、大切なのは歩数よりもペース(もっと正確に言えば運動負荷)であって、適切なペースで歩けば、一日2000歩程度でもOKという説もあります。
 
逆に、「一日1万歩」では不足しており、一日1万2000歩歩くべきだという説もあります。
 
こういった諸説ある中から、政府がお墨付きをあたえようというのが、「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」でもあるわけです。
 
 
 

「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023(案)」で推奨される運動量とは

 
「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023(案)」(以下、ガイドライン)は、まだ案の状態で最終決定ではありません。これ、大事ですからお踏まえくださいね。
 
ガイドラインが推奨しようとしている身体活動・運動の基準は、以下のとおりです。
 

  • 高齢者
    一日40分以上の身体活動(約6000歩以上のウォーキングに相当)した上で、週に2~3回の筋力トレーニングを行うこと。
  •  

  • 成人
    一日60分以上の身体活動(約8000歩以上のウォーキングに相当)した上で、週に2~3回の筋力トレーニングを行うこと。

 
そして、高齢者、成人ともに「座りっぱなし(座位行動)の時間が長くなりすぎないように注意する」としています。
 
ちなみに、身体活動については、「安静にしてる状態よりも多くのエネルギーを消費する、骨格筋の収縮を伴うすべての活動」と定義されています。
 
さらに身体活動について、以下のように補足しています。
 

  • 成人に対しては、「息が弾み汗をかく程度の運動を週60分以上行うこと」を推奨。
  •  

  • 高齢者に対しては、「筋力・バランス・柔軟性など多要素な運動を週3日以上行うこと」を推奨。

 
今回のガイドラインでは、筋力トレーニングについて明記した点に、過去のガイドラインとの大きな違いがあります。
 
では、筋力トレーニングについては、どのように記述されているのでしょう。
 

  • 筋力トレーニング(筋トレ)には、マシンなどを使用するウエイトトレーニングだけでなく、自重で行う腕立て伏せなどの運動も含まれる。
  •  

  • 特定の部位を重点的に鍛えるのではなく、胸、背中、上肢、腹、臀部、下肢などの大きな筋群に負荷がかかるような筋トレを全身まんべんなく行うこと。
  •  

  • 日常生活レベル以上の負荷で筋トレを行い、少しずつ負荷を高めていく(=漸進性過負荷の原則)ことが重要。負荷は重さや回数で調整可能。

 
しっかりと筋肉を休める時間(休息日)をとることも重要。
 
なお、ガイドラインで指摘する筋力トレーニングの負荷は、いわゆるボディビルダーのような筋肉がパンプアップした筋骨隆々な体を目指すものではないことも明記されています。
 
近年、健康寿命という言葉が使われるようになっています。
健康寿命とは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」とされています。
 
確かに、寝たきりの生活になるのは健康な状態とは言えませんから。
 
ガイドラインでは、特に働き盛りの世代が運送不足に陥りがちであることも指摘しています。
心当たりのある方は、ぜひガイドラインを参考に、ムリのない範囲でウォーキングなどを行ってください。
 
※参考
第3回健康づくりのための身体活動基準・指針の改訂に関する 検討会(厚生労働省)
 
 
 


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