2024年3月卒予定の大学生新卒就職状況に関するデータが公開されています。
リクルートが公開しているデータを紐解き、前後編に分けてお届けします。
後編となる本稿では、就職活動の状況、つまり学生側の就職活動にフォーカスしましょう。
例年言われることではありますが、24年3月卒の大学生・大学院生の就職活動については、早期化が目に付きます。
もっとも多くの学生が就職活動を行っていた時期は、2023年3月1日がもっとも高く、88.2%の学生が「既に就職活動を行っていた」と回答しています。
次に高いのが、2023年2月1日で87.9%。
以降、就職活動の実施率はどんどん下がり、2023年6月1日時点で45.6%まで低下、同年9月1日では12.4%まで低下し、多くの学生が、夏前後で就職活動を終えている実態が見えてきます。
この傾向は、就職内定率からも見えてきます。
2024年卒の4月1日時点での内定率は、48.4%。
同じく4月1日時点の内定率を見ると、2023年卒は38.1%と約10ポイントも低く、2022年卒はさらに低く28.1%しかありませんでした。
「就職先を確定する際に決め手となった項目」のTOP3は、「自らの成長が期待できる」(50.9%)、「福利厚生(住宅手当等)や手当が充実している」(43.2%)、「希望する地域で働ける」(40.9%)と続きます。
「希望する地域で働ける」って、採用段階では、企業側も内定者に対してコミットできない(あるいは「コミットするのは難しい」)と思うのですが。
ちなみに、過去2年間、3番めは「会社や業界の安定性がある」でした。
一方で、24年3月卒の学生たちは、新型コロナウイルスの影響をもろに受けた世代です。
「コロナ禍で頼りにできる先輩が少なく、ほぼ自分一人で就職活動を行った」「先輩や友達がいない状況で孤独に就職活動を始めたため、精神的にもつらかった」という声も目立ちました。
さらに、彼ら彼女らは、変化する選考方法にも苦労したようです。
就職活動で苦労したことの上位5位は以下です。
- 自己分析(53.5%)
- エントリーシートなどの書類提出(52.5%)
- 面接を受ける(対面)(51.4%)
- 企業研究(49.6%)
- 面接を受ける(Web)(49.5%)
1~4位までは当然でしょうが、5位のWeb面接は、今の時代の苦労と言えるでしょう。
さらに近年活用され始めた選考手法である「自分で撮影した動画の提出」については、「3分以内の動画を4本撮るのに苦労しました。面接の方がよっぽど楽に感じました」という学生もいたそうです。
2023年12月1日時点の大学生(大学院生除く)の就職内定率は95.1%で、前年と同水準の結果となりました。
内定者数は、以下のようになっています。
- 1社 36.1%
- 2社 25.1%
- 3社 17.5%
- 4社 10.2%
- 5社 5.7%
- 6社以上 5.3%
※平均社数 2.46社
2社以上内定をもらった人の割合は63.9%ですから、企業側は内定辞退を当たり前のこととして考えなくてはなりません。
内定企業を業種別に見ると、2024年卒と2023年卒を比較し、減少しているのは建設業、小売業、医療・福祉業、教育・学習支援業です。運輸業は23年卒8.1%に対し、24年卒8.4%とわずかながら増加しています。
さて、2024年3月卒の大学生・大学院生たちの就職活動を、2回に分けてお届けしました。
圧倒的な売手市場(学生優位の就職マーケット)になったがゆえに、学生たちのエゴも浮き彫りになった統計調査結果だと感じています。
人材確保は、少子高齢化が進み、就労可能人口が減少していく日本社会においては喫緊の課題です。
企業側も、柔軟な発想と取り組みで採用に挑まなくてはならないのでしょう。
「今までが、◯◯だったから」などといった、先例に悪い意味で囚われている企業は、採用に関してジリ貧になっていくのでしょうね。