秋元通信

「在宅勤務+障がい者雇用」@情報交流会#4

  • 2016.11.23

※記事中の画像は、すべてクリックで拡大します。

秋元運輸倉庫では、4回目となる情報交流会を開催しました。
今回のテーマは、「『可能性を広げる!?』 在宅勤務+障がい者雇用」。

 

厚生労働省資料より 

厚生労働省資料より

まずは、日本国内における在宅勤務制度の実施状況から。
厚生労働省の調査によれば、社員100名以上の企業において、約1割がテレワーク制度を導入済みとのこと。また、在宅勤務を行っている労働者数は、約220万人だそうです。

ここで確認です。そもそもテレワークと在宅勤務って、どう違うのでしょうか。

在宅勤務という言葉は、ほとんどの人がご存知かと思います。
しかし、その定義をご存知の方は、意外と少ないのではないでしょうか。

 

在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィスは、すべてテレワークに含まれる(情報交流会資料から抜粋)

在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィスは、すべてテレワークに含まれる(情報交流会資料から抜粋)

在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィスの3種類の働き方を総称するもの、それがテレワークとなります。
また、「自宅で仕事をすること」と「在宅勤務」は必ずしもイコールではありません。在宅勤務は、会社事務所という主たる働く場所があって上で、自宅という働く場所があります。「自宅で仕事をすること」には、内職やフリーランスのような働く場所が自宅しかないケースもあります。後者のケースは、テレワークの範疇には入らないわけです。

情報交流会では、勘違い、もしくは混同しがちな在宅勤務の定義を確認することから始めました。
しかし、弊社には在宅勤務制度がありません。
在宅勤務をしたことがないのに、在宅勤務を語る?
そう考えた私どもは、実際に在宅勤務を一日ではありますが体験してみました。

体験したのは、以下三名です。
・溝上課長
臨港営業所所長代行

・奥山係長
芝浦営業所 配車マン

・上田
芝浦営業所にて、デリバリー・コントロール全般を担当。

 

3人の在宅勤務体験のまとめ

3人の在宅勤務体験のまとめ

結論から申し上げれば、溝上:x、奥山:◎、上田:○ と言ったところでしょうか。
管理職である溝上は、現場から遠く離れた自宅にいるため、現場の状況をつかむことができず、イライラとしたこともあったようです。また、自宅という普段と違う環境であったため、仕事に身が入らず…、はっきりと言えば、サボってしまったそうです。

配車業務という、運送会社のコアとなる業務にチャレンジした奥山は、「配車マンは自宅でも仕事ができる!」という実感をつかみました。もちろん、社内から配送情報などの提供サポートを受けた結果ではありますが。弊社でも、未だファックス等による配送依頼は存在しますし、またすべての配送情報がシステム上で一覧確認できる状態にはなっていません。こういった情報整備が進めば、さらに在宅配車マンは完成度を上げることができるでしょう。
もうひとつ、奥山は三人のお子さんを持つパパでもあります。在宅勤務によって、お子さんとの時間を増やすことができたことも、大きなメリットとなりました。

事務職である上田は、普段から紙に囲まれて働いています。書類や伝票など、紙の存在は上田の在宅勤務体験における課題でした。伝票などは、専用プリンタからではないと出力できません。したがって、上田は在宅勤務体験で行う仕事を、「PCでできる仕事」と「持ち帰ることのできる書類」に限定したのですが、結局、その量と重さから、書類仕事の大半は諦めることになりました。
また、上田は在宅勤務体験中に「寂しい…」と感じたそうです。

今回の情報交流会における大きなテーマは、在宅勤務と障がい者雇用を結びつけることで、新たなビジネスチャンスや大きな業務改革への可能性を探ることです。

前回の情報交流会に続き、テーマの当事者、つまり今まさにその状況にいる方からに対し、インタビューを行わせていただき、その動画を情報交流会の中で視聴しました。

今回のインタビュー相手は、車いすの障がい者であり、現在はあるIT企業で在宅勤務と会社出勤を行う29歳の女性。働きたい、と思いつつもご自身の体力や体調の問題から、なかなか思うように働くことができずにいた彼女が、在宅勤務制度によって働く場所を得ることができたいきさつ。そして、そこに至るまでの彼女の想いや、「今が楽しい」と言い切る彼女の姿に、温かい気持ちをもらうことができます。

インタビュー動画はご本人の承諾を得てYoutubeにアップしています。
ぜひ、ご覧ください。

今回の情報交流会では、障がい者雇用支援のリーディングカンパニーである、株式会社アイエスエフネットハーモニー:大久保様から、障がい者雇用の現状について、ご紹介いただきました。
その内容は、あえてここでご紹介するのは控えましょう。

同社では、同社事業所内で働く障がい者の業務内容や業務手法を紹介する見学会を定期的に行っています。ぜひ、見学会に参加していただき、同社から直接お話を聞いていただきたく存じます。
同社見学会の告知サイトへ
なお、現時点で年内および年明け以降の見学会予定は未定です。
もし、ご希望の方がいらっしゃったら、弊社までご連絡ください。見学会の予定がつき次第、当方よりお知らせいたします。

情報交流会の後半は、恒例のディスカッションパートとなります。
4グループに分かれて、積極的な意見交換が行われました。

「障がい者雇用、在宅勤務とも、そもそもやらせられる仕事が見当たらない」

「自宅に仕事は持ち込まない。ずっとそのようにしてきたので、在宅勤務はしたくない」

「在宅勤務制度を行っていたら、結婚や出産を機に退職していった女性たちを引き留められたかもしれない」

「障害者雇用促進法によって、企業における障がい者雇用は義務化された。しかし、実際に雇用を行うリスクや手間などを考えれば、法定雇用率を満たせずともペナルティを払ったほうがよいという考え方はありだと思う」

「今は健康な自分だが、もしかしたら将来障がい者になる可能性だってある。親の介護などで、今のような働き方ができなくなるかもしれない。在宅勤務も障がい者雇用も、他人ごとと考えていはいけない」

在宅勤務も、障がい者雇用も、企業で実現するのはとても大変です。
冒頭に挙げた厚生労働省の資料では、2013年と2014年では、テレワークを行う労働者の数が40万人も減ったことが指摘されています。

実は筆者、以前厚生労働省が指定するテレワーク推奨企業に勤務していました。さらに言えば、社員の1割強は障がい者でした。
その時の体験も元にしつつ、少しお話しさせてください。

障がい者雇用も在宅勤務も、実現するためには、それなりに労力とコストがかかります。そして、メンタリティでの負担もあります。
例えば、上田も感じた在宅勤務での孤独感は、深刻な問題です。寂しいから在宅勤務を止めたい。会社に出勤したいと希望した「元」在宅勤務ワーカーは、実は意外にたくさんいるのです。
そして、障がい者とともに働くということは、誤解を恐れずに言えば、一部の健常者にとってはストレスにつながります。
障がい者雇用と、在宅勤務を実現するためには、いくつものハードルを越えなければならないのです。

しかし、考えてください。
在宅勤務に孤独感を感じない人もいます(例えば筆者のように)。
一方で、出社に苦痛を感じる人もいます。
健常者の中にだって、「こいつとは一緒に働きたくない…」と思う人は、誰しもいることでしょう。
在宅勤務を行うためには、さまざまなツールが必要です。例えばPC。しかし、ここ数年で在宅勤務のスタンダードであるハードディスクレスPCは、著しく値下がりしました。ChromeNoteであれば、一台3万円~5万円、年間ひとりあたり約6000円から利用可能です。

在宅勤務や障がい者雇用というのは、多様化です。
働き方の多様化であり、人材の多様化であり、そして発想の多様化にも必ずつながります。
さらに言えば、多様化というのは価値です。
さまざまな多様化によって、価値を高めている企業の存在は、皆様もひとつふたつ、思い浮かぶのではないでしょうか。
さて、今回の情報交流会は、物流企業にとっては縁遠く、また難しいと思われる障がい者雇用と在宅勤務を取り上げました。
次回のテーマも、皆様、お楽しみに!!

 

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弊社セミナー資料

 

※参考資料
第三回「働き方の未来2035:一人ひとりが輝くために」 厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000116045.pdf

 

「自宅でのテレワーク」という働き方
厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/dl/pamphlet.pdf

 


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