秋元通信

2023年4月1日施行の改正道交法、そのポイントとなる「自動運転レベル4」について解説

  • 2023.3.30

来る2023年4月1日、道路交通法の一部が改正されます。
今回の改正道交法のポイントは、「自動運転レベル4」の解禁と、電動キックボードなどの「特定小型原動機付自転車」です。
今回はまず、自動運転レベル4について解説しましょう。
 
 
 

自動運転レベル4について

 

※”日本が、自動運転の「世界初」にこだわる理由“より
 
 
まずは、自動運転のレベル分けについて復習しておきましょう。
 
※詳しくは、以前お届けした以下記事をご覧ください。
日本が、自動運転の「世界初」にこだわる理由
 
 
自動運転は、レベル0から5までの6段階に分類されます。
 
レベル0は、自動運転どころか、運転支援機器もない状態。
レベル1~2は、自動ブレーキやハンドリング支援などの運転支援がある状態を指します。
 
自動運転に相当するのは、レベル3以降です。
レベル5は、どんな条件下、どんな道路でも実現できる自動運転です。私たちがイメージする、近未来世界の自動運転はレベル5です。
 
レベル3とレベル4は、高速道路などの特定条件下においてハンドリング操作、ブレーキ操作、危機回避などの自動運転を行うものですが、ドライバーの責任範囲が異なります。
 
レベル3では、ドライバーは自動運転システムからいつでも運転操作を引き継ぐことができるよう、待機している必要があります。
 
レベル4では、もし自動車走行中に危機的な状況が発生したとしても、自動運転システムがクルマを安全に停止させます。
 
ドライバーが常にスタンバイ状態でいる必要があるのか、それともないのかが、レベル3とレベル4の違いです。(かと言って、レベル4ならば居眠りしてもOKというわけではありませんが…)
 
 
 

改正道交法における自動運転のポイント

 
今回の改正道交法では、自動運転レベル4の車両を、特定の条件を満たせば公道走行可能とした点です。もちろん、無人運転もOKです。
 
警察庁Webサイトから、そのポイントを転記しましょう。
 

特定自動運行に係る許可制度の創設
 

  • レベル4に相当する、運転者がいない状態での自動運転(特定自動運行)を行おうとする者は、都道府県公安委員会の許可を受けなければならないこととする。
  • 都道府県公安委員会は、許可をしようとするときは、市町村の長等の意見を聴かなければならないこととする。
  • 遠隔監視のための体制を整えなければならないこととするなど、許可を受けた者の遵守事項や交通事故があった場合の措置等について定める。

 
ここでイメージしているのは、一般車両を対象とした自動運転レベル4というよりも、無人運転バス・タクシーなどの運行でしょうね。
 
既に遠隔でオペレーターが監視しつつ、バスそのものは無人で運行される形態は、何箇所かで社会実験が行われ、また一部では実用化されています。
 
ポイントとなるのは、「自動運転レベル4が許可される”定義”」を定めたことではなく、「自動運転レベル4を許可する”機関”を定義した」ことでしょう。
 
既に社会実装を済ませている無人運転バスなどを考えると、おそらく無人運転バスに許可される速度は20km/h前後、30km/hは難しいと、筆者は考えます。ちなみに、TOKYO2020の際に、選手村内で運行された自動運転バスの最高速度は19km/hでした。
 
このあたりの判断は、走行するルート、道路の条件、歩行者・自転車・自動車など、他モビリティの状況など、さまざまな条件を総合的に勘案して決定する必要があります。
この判断を、市区町村の意見を聞いた上で、公安委員会が行うという改正道交法のやり方は、とても妥当な方針であると、私は考えます。
 
さて、今回はここまでです。
もうひとつの改正道交法の柱である、電動キックボードなどの「特定小型原動機付自転車」については次号でお届けしましょう。
 
 
 


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